高度なIT人材を育成するための専門資格
ITストラテジスト試験(ST)は、情報処理系の資格を一手に扱う独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって主催されている資格試験の一つです。
IPAといえばITパスポート試験や基本情報処理技術者試験などの今後IT系の仕事に就職したいと思っている人に対して、適切な知識を備えることができる質の高い試験をしているところとして有名です。
中でも上位資格として位置づけられている8つの資格はIT技術の専門家であることを証明できる大変有用なものです。
業界内においてのインパクトも強大なので、技術者系人材としてWebの仕事をしていきたいならいずれか一つは取得しておきたいところです。
「ITストラテジスト」とは、簡単に言うと経営とITを結びつけて考えるための知識のことをいいます。
漠然としていますが、それぞれの経営戦略においてITをどうやって使用していくかということを提案・実施していくことができるようにするということを目的としています。
現在の企業における営業戦略において完全にITを使わずにいることは不可能です。
しかしいざITを業務に活かそうとしても、それぞれの会社の様態やビジネスモデルの違いにより全く同じものを既製品のように使用すればそれでうまくいくというわけではありません。
そこでITストラテジスト試験では、どのような企業の形態においても柔軟にIT技術を生かしていける基礎的な知識や思考法を問いています。
業務・業種の事業特性からシステム構築の方法を提案するという、高度なIT人材としての能力を資格試験によってはかります。
ITストラテジスト試験で必要な技術水準
ITストラテジスト試験は受験資格はなく、誰でも申し込みをすることで受験が可能です。
試験は年に1回、10月の第3日曜日に行われています。
試験は一日の午前と午後に分けて行われ、それぞれ2科目ずつを行って合計点が基準点以上であるかどうかにより合否を判定します。
午前の試験は四肢択一の多肢選択式マークシート筆記試験で「システム戦略」「経営戦略」「企業と法務」の3分野から出題されます。
午後試験は記述式と論述式2科目となっており、それぞれ業種ごとの事業特性を反映した事業戦略の策定や、システム戦略とシステム化計画といったようなことが出題されています。
新しいシステム開発をしていく上で発生する関連技術や社会的制約、また知的財産の問題といったところまでも踏み込んで問題が作られているため、かなり本格的に学習をしていないと合格は難しいでしょう。
合格率は平均14%程度となっており、ほかの高度な情報処理資格であるデータベーススペシャリストやエンベデッドシステムスペシャリストなどと比較してやや低めです。